CONCEPT

私が考えること 1

建築や住宅・店舗などの設計に定石やマニュアルというものはありません。

クライアントがどのような事を考え何を望んでいるのか、その思いの数だけ、方法があります。 そして、それを具体的なものにしていく建築家の数だけ、方法があります。 私は特に「これ」という手法を持っているわけではありませんので、クライアントのご要望に合わせて設計を進めることになりますが、昨今感じることは、クライアントご自身の、建築に掛ける時間が少ないのではないかということです。

建売やハウスメーカーの住宅を購入する、ということを決して否定するわけではないのですが、住宅展示場で見た出来合えの住宅を見て、商品を購入するかのように住宅を購入することには少々違和感を感じるときがあります。

ほんの少しの工夫や、ちょっと間取りを考えるだけでも、無駄な空間や使えそうにない場所が、生きた空間になることがあります。 逆に、無駄に見える空間が存在することで、楽しさやゆとりが生まれることもあります。


私が考えること  2

「建築する」ということは、とても大変な作業です。

その中でももっとも私が気にしていることは、クライアントの方々が、どれだけご要望やご意見などをこちらにぶつけて頂けるのかということです。

何をどう伝えればよいのかが分からない、というのが正直なご意見かも知れません。 ですが、まとめるのはこちらの仕事です。 建物が建つまでの様々なプロセスの中で、この「ぶつける」「まとめる」という作業が、すばらしいものを造る上でのもっとも重要な部分です。 話は少しそれますが、出生から2年間の育児教育によって、その子の資質がほぼ決定づけられると「0歳からの母親作戦」の執筆者であり、ソニー設立者の井深大氏は説いています。

80年の生涯における最初のたった2年です。勿論、全ての資質が決まるわけではありませんが、その後の生長に大きな影響を及ぼすことは確かでしょう。 建築、特に住宅の場合にも同じことが言えるのではないでしょうか。

皆様の大切な建築を生み、そして育てていくために、大いにお役に立てればと思います。